子育ては大変です。
親に全ての責任がおおいかぶさってくるからです。
以前、うちの息子が火傷をしました。彼が4歳か5歳の頃で、その頃、うちは石油ストーブを使っていました。
そのストーブの天板に、息子が手をのせたのです。
当然、火傷をします。
すぐに水で冷やしたのですが、医者にも行き、治療に通いました。
石油ストーブにやかんを乗せていて、それが倒れたとかではなく、本当に、肉かパンを焼くみたいに、息子は自分の手を天板に乗せたのでした。
当然、仕事に遅れます。時間休をもらって、仕事を休んだことを詫びて、医者に連れて行き、その後、保育所で遅れ行き、遅れたことを詫び、仕事に戻る。
風呂に行く時、食事の前に手を洗う時、火傷は手の甲ですが、神経を使います。
薬を塗ったりするケアも時間がかかります。
そんな時、職場の上司が「火傷は親の責任」と言いました。確かに。本当に。怪我をさせてしまった私が悪いのです。
まあ、火傷は治り、そうこうしているうちにまた通常の生活が戻ってきましたが、また、風邪をひいたり熱を出したりで、病院通いは続きます。
職場に謝り、保育所に行けるかどうか気を揉み、職場では仕事を済ませられるかどうかで神経を使い、そういう毎日でした。
子どもたちが大きくなった今思うことは、「ようやってきた」と言うことです。あんな綱渡りの毎日、今の私なら、神経が参ってしまいます。
当時、いつでも眠かったのを覚えています。
さて、息子の火傷は大きなことなく治り、後になって、彼が言うには「ストーブの上に手を置いたらどうなるか、実験してみたんや」とのこと。
この馬鹿モン、とは思いましたが、何事も自分で試してみたいという彼の気持ちに免じて許すことにしました。
たいへんだったことは大変でしたが、後になって、こういう裏話に遭遇するのは、子育てならではの褒美みたいなものです。
一番みじかで、始めて歩く姿を見たり、一人前の顔してお粥を食べるのを見たり、そういった、毎日一緒に過ごしているからこそわかる、その子ならではのワンシーンが、子育てをしている時の喜びになります。
この、ご褒美みたいな一瞬があるから、大人は頑張れるのですね。