私の子どもらが通っていた中学校は、かって、そのあたりで優秀だと言われていた中学校でした。
私立でも何でもない、かた田舎の公立の中学校で、もちろん優秀な先生もいらっしゃったかと思いますが、親の目から見ても、ええ加減な先生やなあと思う方もいらっしゃいました。
うちの子どもは何でも中くらいでしたので、優秀でもない代わりにとてもひどくもなく、多くの生徒に紛れて暮らしていました。
私もできるだけ悪目立ちしないよう、気をつけて暮らしていたつもりです。
大体、自分の職業が学校の教師なので、どうしても同業者ということで、担任や部活の先生とは知り合い風になってはしまうのですが。
で、そういう中学校でしたので、真面目にコツコツと取り組む生徒が多かったように思います。
ところが近年、この中学校の学力が下がってきた、という話を中学校の先生からお聞きしました。
ガクガクテストが恐怖になってきたのですよ、とその先生は言われていました。全国学力テストのことです。全国の小学6年生と中学3年生を対象に行われ、全校学力・学習状況調査と呼ばれています。だから「ガクガクテスト」なんですよね。
かつて、この中学校は学学テストで上位でした。県内でもトップクラスだったそうです。でも、今は、下の方。
経済的に安定したご家庭が多く、繁華街もあまり近くになく、落ち着いた農村地区。でも交通の便はよくて、JRも走っており、少し行けば都市部という恵まれた環境にあります。
いや、嘘でしょう?と思いましたが、心当たりがある気もして、ここに書こうと思いぺんをとりました。
というのは、その中学校に進学する小学校の子どもたちの様子が、以前と変わってきているように思うからです。
中学校の生徒たちは、いきなり中学校の生徒として出現するわけではありません。中学校の前は小学生として学校に通っていたわけで、そこでの学びや習慣が、中学生を形作るのです。
さて、小学校がどう変わったか。
まず、宿題の量が少なくなったように思います。
以前は、計算20問、漢字の書き取り、音読はマストでした。音読も、教科書をちゃんと読んでくるというのが当たり前で、音読カードなるものに、読んだ部分や読んだ回数を記入して提出します。
しかし、最近は、音読を聞く時間的な余裕がないご家庭も多く、音読は重要視されません。
子どもも嫌がりますので、教師としても宿題に出しにくいのが実情です。
真っ当な教師は、音読の宿題ができていないと休み時間に音読をさせるということをしますので、音読を宿題に出す教師は自分で自分の首を絞めることになります。
では、どうすればいいか。
①音読の宿題を出さない
②音読カードに丸がついていれば、音読の出来不出来は関係なくそれでよしとする。(保護者の中には、音読をしていなくても丸をつける、あるいは子どもが勝手に音読をしたことにして済ませる)
③音読の宿題を出すが、詩のような簡単な短いものにする。
こういった①から③までの方法で宿題を乗り切ります。
と、文字が流暢に読めないお子様が出来上がりです。
その子たちが中学校に進学するわけです。
学力が高くなるはずがありません。
今日も自転車に乗って学校に向かう中学生の背中に向かって、音読はしてましたか?と小さくたずねる私です。